「中学の時からずっと、結しか見えないんだよ。どんなことがあっても、結だけが好きで、どうしようもないんだ。」
「…私も…ずっと上原くんしか見えないよ…。」
「そっか…。」
「うん…。」
私は、もう一度強く抱きしめられながら、ずっと上原くんの心に寄り添っていきたいと願った。
「由里子のことだけど…。」
上原くんは、由里子さんとのことを、言葉を選びながら話してくれた。
「辛かったよね…自分を責めないで…誰も悪くない…。」
「結…。」
「誰も悪くない…。」
私は、上原くんの目を見て頷き微笑んだ。
上原くんは、黙って私を見つめる。
「辛いことは私にも分けてね。そうしたら、辛さも半分になるでしょ?」
私は上原くんの手に、自分の手を重ねてそっと握った。