「それなら…なんで…。」



「俺が上原さんを好きでも、それでもいいって…そう言ってね…もう断れなかった…。亜紀の気持ちは痛いほどわかるから…だって、俺がそうだから。」



宇佐見くんは、だってそうだろ?と言うように、目を細める。


「俺も、上原さんが…あいつを好きだったとしても…それでもいいと思うからです。」



私の肩にそっと手を置いて、ポンと叩いた。


「たとえ気持ちがここになくとも…こうして触れることができる…そばにいることができる…それだけでいいんです。亜紀も…同じ。」



「…ごめんなさい…。」



「いいんです、上原さんはそのままで。」


そうしていつもの優しい笑顔を向けてくれる。




「亜紀には、もう一度きちんと話します。上原さんは気にしなくていいですから。」


肩に乗せていた手で、私の髪をくしゃっとかき混ぜた。



「ほんと、上原さんっって…。」


宇佐見くんはそこまで言って、なんでもないよ…とつぶやいた。