上原くんは、振り返りもせずに行ってしまった。

残された私は、呆然と立ち尽くす。


何も考えられない。

動くことさえできない。



やっと手を掴んだと思ったのに、するりと抜けていってしまう。



いつもそうだね…。

上原くんの手は…掴んだと思っても、すぐに離れてしまう。



一緒にいることを望んではいけないと、思い知らさせる。






もう、涙も…出ない…。


身体から力が抜けて、へなへなと崩れ落ち、冷たい砂利の上に座り込んだ。








「上原さん。」


私を呼ぶ声が聞こえた気がして、ゆっくり振り返る。



ザザッ…


砂利を蹴るように歩いてくるのは、宇佐見くんだった。