一歩、また一歩と距離が縮まって、上原くんは、私の目の前で立ち止まる。
「結…。」
上原くんが、私の名前を呼んだ。
その温かくて、優しい声を聞いたら、自然と涙がこぼれて落ちる。
どんなにがまんしても、ジャンジャン涙が溢れてくる。
今までがまんした分、溢れてくる。
「泣かないで…。」
上原くんは、持っていたカバンを下ろして、そっと私を抱き寄せた。
「ただいま…結。」
「…お帰り…上原くん…。」
抱き寄せた腕をゆっくりほどいて、私の両頬を大きな手のひらで包んでくれる。
そして、あの夜のように、私のおでこに自分のおでこをそっと押し当てた。
「会いたくて、たまらなかった。」
私の涙が、上原くんの手を濡らしていく。
上原くんの痛いくらいの優しい笑顔。
胸が苦しかった。



