私は、歩き出そうと伸ばした足を引き戻した。





「あいつとは…うまくいきましたか?」



離れた場所から、私に向かって問いかける。

宇佐見くんの表情までは、ここからはわからない。




「…うん…。」



「そっか、よかった。」



宇佐見くんは、空を見上げていた。




「宇佐見くんは…なんで、いつも私を助けてくれるの?」



「えっ?上原さんはいつも突然ですね…。」

宇佐見くんが私に背を向け、手すりを掴んだ。

つま先を二回トントンとならして、もう一度振り返る。




「なんでって…そりゃあ…友達だからですよ。大切な友達だからです。」



「友達…?」



「そう、友達。それ以上でも、それ以下でもない。」