目を凝らせば、その人影は見覚えのある姿。





「…宇佐見くん?」



私の声に、ビクリと身体を震わせ、ゆっくりとこちらに振り返る。




「ああ、上原さん、どうしたの?」


「宇佐見くんこそ…こんなところで、どうしたの?」




「ちょっと、早起きしてしまったので…ね。」



おどけた声。


私は、階下に降りていこうと足を一歩踏み出す。





「ああ、来ないで!」

宇佐見くんは、片手で私が来ることを制しながら、残ったもう片方の手で顔をごしごしと拭っていた。




「そのまま、そこにいてください。」