宇佐見くんの足音が、パタンパタンと遠ざかっていく。

上原くんは、ふうっと大きく息を吐いた。




「上原くん…なんで…ここに?」



「ああ…あいつに呼び出された。11時半に来いって。…あっ…!」



上原くんはそこまで言って、下唇に親指をあてる。



「そっか…あいつ…わざと…。」



「えっ…?」



「…いや、なんでもない。」







上原くんは、私の正面に座って、顔を覗き込むようにして話しはじめた。



「結…いっぱい泣いたのか…?」



「…ううん…泣いてないよ…。」



「うそだろ?」

上原くんは優しく笑う。



私は下を向く。



「ごめんな。」

そう言って、私の頬に触れる。