宇佐見くんは、上原くんの声をかき消すように言葉を放つ。


「俺の気持ちは君に伝えた。じゃ、いいんですね、もう。」



上原くんは、頭を抱えて大きく首を振った。


「違う…ダメだ…いいわけないじゃないか…。」





頭を抑えていた手を静かに離して、ゆっくり私の方を向いた。



「俺は…結のことが…今も変わらず…好きだ…ずっと…一緒にいたい。」



低く一定だった宇佐見くんの声が、小さな子供をあやすような優しい声に変わる。


「だったら、二人で話せよ…結を安心させてやれ…な?」




そして、宇佐見くんは私を振り返る。



「上原さん、自分の気持ち、しっかり伝えるんだよ。」



大きな瞳が揺らいでいる。


「さっきはごめんな。」




そう言って、私たちを残して、宇佐見くんは部屋を出ていった。