体育館の入り口から、水筒を抱えた女の子が歩いてくる。

左手に、肘までの手袋のようなギブスをつけている彼女。



あっ…




そう思った瞬間、彼女は上原くんに駆け寄って水筒を渡す。

上原くんは、水筒を受け取り、彼女に何か話しかけている。




由里子さんだ…



私は上原くんと由里子さんを眺めていた。

由里子さんは時折、笑いながら上原くんの身体に触れる。



仲が良さそうな二人を見ていると、胸の中にもやもやとした感情が生まれてきているのが分かった。