「上原さん、あいつ、上原さんをずっと目で追っていますよ。」

宇佐見くんが囁いた。



「ほら、また。」

えっと思って顔を上げると、上原くんがこちらを見ていた。



「ちょっと、あいつ見ててください。」

そう言って、宇佐見くんが私の肩に手をのせた。



「ほらね、やっぱり。」



「やっぱりって?」



「あいつ、イライラした顔してます。」



「イライラ?」



「うん、見ててくださいね。」




そう言って、今度は私の肩を引き寄せた。

上原くんは、一瞬目を見開き、唇を噛んで目を伏せた。





「ほら、やっぱり。」



「やっぱり?」



「上原さん、大丈夫です、あいつ…。」



そう言って、肩に乗せた手を下ろした。



私は、宇佐見くんの言っている意味がよくわからなかった。

だけど、宇佐見くんが大丈夫って言うなら大丈夫なんだろうと、妙に納得した気持ちになっていた。