「おはよー、結、ちゃんと寝てないでしょ?」

亜紀が、私の顔を覗き込む。



「えっ、ちゃんと寝たよ。」



「…いや、寝てませんね?」

そう言うのは宇佐見くん。

私は苦笑い。



「わかりますよ、そんな顔してりゃ。」

宇佐見くんは、自分の目の下を指しながら言う。



あ、クマか…。

確かになかなか寝付けなかった。



「そうだよね…緊張するもんね…、大丈夫、私がついてるし!」



「お前が一番頼りない。」



「はー?カズさん、今なんておっしゃいました?」



「いえいえ、なんでもありません。」

そう言って、私の方を向いて舌を出す宇佐見くん。


二人がいると心強い。



「まあ、なんとかなりますよ。」



「そうだね、私に任せて!」

亜紀が胸を張った。



「だから、亜紀が一番怪しい。」



「うるさいってば、カズ!」



「…二人とも、ありがとね。うん、頼りにしてます。」

そう言って、小さく頭を下げた。



「楽しい合宿になるといいね。」


「そうですね…。」


「うん。」




この坂を登れば、上原くんの高校まであと少し。