言葉の意味が理解できなくて、身体が動かない。

ただ涙だけが、生き物のように次々と頬を伝っていく。






「ちょっと待ってくださいよ!」


宇佐見くんが私の前に立ち、上原くんに向かって言った。



「それは、あんまりじゃないの?何カ月も待たせて、揚句に約束すっぽかして、はいさようならって…。」



「宇佐見くん…いいよ、もう…いいから…。」



「おい、何とか言えよ!」



宇佐見くんが、興奮気味に言った。


「ごめん、ここ病室だから…。」


上原くんが静かにそう言うと、宇佐見くんはハッとして下を向いた。




「わかった…外に行って話そう…こっちにきて。」



上原くんは、ドアを開けて、私たちを病院の中庭に連れ出した。