「…なんていうか、本当に上原さんの彼氏なんですか、その人?」


「えっ…うん、たぶん。」


「だってさ、おかしいですよね?何カ月も彼女をほっておくとか。普通は、連絡ぐらいするでしょう?」

「あ、うん、でも、寮だから、みんなの前で電話するのは恥ずかしいみたいで…。」


「ふ~ん、ま、いいですけど。」


「うん…。」


それから、しばらく沈黙が続いた。




「…もし、俺だったら、好きなやつとはずっと一緒にいたいって思いますけどね…。」


宇佐見くんが、私の方を向いてつぶやいた。


「あ…うん、そうだよね…。」


「そうですよ。一緒にいたい。」



「…宇佐見くんは、好きな人いないの?」


「俺?…いませんよ。」


「亜紀は?仲いいでしょ?」



「あいつは恋愛対象じゃありません。」

「そうなんだ…私はてっきり…。」


「ばかなこと言わないでください。俺が好きになるとしたら…。いや…なんでもありません。」


宇佐見くんは、下唇をつまんで目を伏せる。

次に目を開けたときは、ノートの上に、一心にペンを走らせていた。


宇佐見くんの様子が気になりつつも、私も黒板に書かれた文字を書き写した。