すれ違ってばかりの私たちの想い。

どこにも向けられなくて、みんな苦しかった。



「結、今日、上原が高校の寮に入るって、知ってる?」


私は、首を横に振った。

「寮に入れば携帯も使えないし、外出も簡単にはできないんだって。今日会わないと、次、いつ会えるかわかんないよ。」


私は何も言えずに、下を向いた。

会いたい…。

だけど、上原くんには好きな人がいる。



「結、上原に言いたいことあるんじゃないの?」



えっ…?

私は驚いて、綾香を見た。


「3時の電車だよ。」


綾香は泣きながらも、一生懸命笑顔を作って話してくれた。


「これ、上原に渡して。餞別だよって。みんなからの。」


綾香…?

もしかして…知ってるの?

私が、上原くんを好きだってことを…。