「私は、上原の秘密を知っててね、それをばらされたくなかったら、付き合ってって言ったの。」


「上原くんの…秘密…?」


「うん、私は毎日上原を見てたから、上原が誰を想っているのか、気づいてた。それをみんなにバラすって、言ったの。」


「上原くんの…好きな人?」


「うん、絶対言わないでくれって頼まれた。そいつには彼氏がいるから、知られたくないって。邪魔したくないからって。」


「彼氏…。」


「うん。上原は優しいからさ、私が言うことも否定しないで、付き合ってるってことにしてくれていた。」


そんな…

付き合ってたのが、ウソだったなんて…。

何もかも、全部ウソなんて信じられない…。


「でも…キスは、したんでしょ?」


綾香は、半分笑った複雑な顔で答えた。


「付き合ってないんだもん、するわけないよ。ウソ。ぜ~~んぶウソ。」


綾香の気持ちを思うと、胸が苦しくなった。

ポロポロ涙を流して話す綾香を、責めることなんかできない。

きっと、綾香も辛かったに違いない。


どうして人の気持ちは、こうもうまくいかないのか…。