「上原とね、別れたんだ。」


「えっ?」



びっくりした…。
突然、上原くんの名前が出てきて…。

別れた?
なんで?

頭がパニックだ。

綾香は前を向いたまま、言葉を続けた。


「というか…もともと、付き合ってなんか…いなかった…。」


え?今なんて?

ハンカチを、ぎゅっと握りしめた。

綾香は、目に涙をいっぱい浮かべて、私の方を向いた。


「私がね、上原に付き合ってることにしてって、頼んだの。」


何も返す言葉がなかった。

ただただ、綾香の言葉に驚いて、ただただ綾香の告白に耳を傾けた。


「私は上原が好きだったから、どうしても付き合いたかった。でも、上原が好きなのは…私じゃなかった。」