「矢島くん!矢島くん!」

抱きしめられながら、私は叫んだ。

涙が溢れてくる。
みんなに言わないで行っちゃうなんて、絶対ダメだ。


「矢島くん、まだみんなどっかにいるから!ねえ、矢島くん!」


「もういいから、黙って!」

刺すように強い、矢島くんの声。
矢島くんの手に力がこもる。


「くそっ!」

矢島くんは私を離して、言った。

「ごめん、困るってわかってる、だけど、ごめん!」


指が私の顎先に伸びて、クッと掴まれ、上を向かされた。


矢島くんの顔が降りてくる。
アッと思って、目を閉じた。



今度こそ、絶対来るっ!