矢島くんの息が、顔にかかる。


だけど、そこから先に進まない。



「ごめん。」

矢島くんの声が聞こえて、私は目を開けた。


「泣くなよ。」


えっ?
私、泣いてる?

自分でも気づかないうちに、涙がこぼれ落ちていた。

矢島くんは、私の身体から離れて立ち上がる。


私もゆっくり起き上がる。

矢島くんは、私に背中を向けていた。


「矢島くん?」


「俺…上原さんが好きで好きでたまらないよ…。」


振り向いた矢島くんの目には、涙がいっぱい溜まっていた。

「自分が、止められなくなりそうで怖い。」



矢島くんは、自分の顔を手で覆う。

「今こうしていても、本当はキスだってしたいし、触れたいと思う…。」


「矢島くん…。」


「こんなに好きになるなんて、自分でも思わなかった…。」


私はどうしていいかわからずに、矢島くんを見つめるしかなかった。