「………亡くなってしまったのは、お子さんです」


「……え?」


「浜田さん、妊娠していたんですよ」


「………………」






それに皆が息を飲んだ。
一人を除いて。



「…伊織さん、聞いてなかったんですか?」


そう言ったのは、尚子だった。



「……し、知らない」



本当に知らなかった。


いつ…いつ妊娠したってわかったの?




「…おかしいな、産婦人科に一緒に行くって張り切ってたのに」



それで俺は、やっと気付いた。


今日、泉が何であんなにご機嫌だったのか。

何で急に行きたいとこがあると言ったのか。

何で転ぶよ?と言った俺の言葉に素直に従ったのか。



全部。

全部、妊娠していたからだ。



子供の名前の話も。

いきなり顔が曇ったのも。



全部、全部。





…………全部。





妊娠したから……?






……俺と、泉の赤ちゃん…?