「……伊織」


聖がその二人を引きつれて俺の前に来る。



「こっちが尚子、こっちが学。
尚子は大学の友達、学は尚子の彼氏」


「………ああ」


「…ごめんな、騒がしくて」



聖はすまなそうに謝る。


「伊織さん」


俺が答えるより先に、尚子が話しだした。



「…いずちんなら、多分大丈夫です」 






……何で。



「………何で、皆そんな信じられるの?」





俺は怖くて、怖くて。

堪らないのに。



俺から誰もいなくなってしまったから。

だから、泉までいなくなることが怖くて堪らないのに。



泉の友達は口を揃えて大丈夫だと言う。


それが当たり前のことのように。



「え?そんなの…」


尚子は学と聖の顔を見てから


「…いずちんが伊織さんを置いていなくなるわけないから」


そう、言って笑った。






………泉が、俺と離れていた時。


どれほど俺を想っていてくれていたのか。




今、こんなにも伝わる。

伝わってくる。





「……は、……はは」