「早く、早く!!」


「ま、待って」


急かす泉に、俺は慌てて着いていく。


「そんな焦ると転ぶぞ」


泉ならそんなこともしかねない。
そう、忠告するといつもなら「子供じゃない」なんて頬を膨らませて反論するのに泉は素直に立ち止まった。


「あらま、珍しい」


「だって、本当に転んだら嫌だもん」


「ふうん」


痛いだろうからな、まあそうだろう。

泉の様子が違うことに気付かず、俺はそう納得する。


そのまま、俺と泉は仲良く手を繋いで歩いた。

泉に誘導されるまま、俺は泉に着いていく。


まだ、行く場所は秘密らしい。


もう教えてくれてもよさそうだけど。

てか、こっちにレジャー施設などないし。
…出かけるような場所あったか?


泉が向かってる先が全く見当つかない。



「あ、もうすぐだよ」


泉がにこにこしながらそう言った。

反対側の道に渡ろうと、横断歩道の前で信号を俺と泉は待つ。


その時、笑いながら話す泉の顔が一瞬にして強張った。