「でも、出来たら名前は一緒に考えたいね」


曇った理由を問う前に俺はとりあえずそう言った。

すると、泉はぱあっと顔を明るくさせると

「うん、一緒に考えようね!!」

そうやってまた鼻歌を歌った。


あれ、なんか機嫌直った?

じゃあ、聞くのいいか。


子供か。
…欲しいな、泉との子供なら。


俺が幸せな家庭じゃなかった分、子供には幸せな家庭を与えたかったから。


それを泉となら成し遂げられるような気がした。



「でね、伊織この後行きたいとこあるんだけどいい…?」


出来あがった料理を、テーブルに置くと泉が突然そんなことを言い出した。


「え?どこに?」


「…秘密」


「ええ?」


「いいから、行こうよ」


「…わかった」


「さ、食べよう」


……どこに連れて行かれるんだろう。

でも、泉が相当ご機嫌だから悪いとこではないのだろう。

素直に着いていこう。