「大事にずっとつけるな」


「うん、嬉しい」


「…ありがと」


「…うん」


それから、伊織は私の腕を取ると唇を重ねた。


「俺、幸せだよ」


切なげに笑いながら、伊織はもう一度唇を重ねる。


「…愛してる」


きっと。


愛してるって言葉は、こんな時に使うんだろうって思う。


簡単に出せる言葉なんかじゃないから。

多用できる言葉でもない。


どうしようもなく、想いが溢れて止まらない時にそっと伝えるために。


「愛してるよ」



繰り返し、伊織はそう言う。

涙が出そうになるほど、純粋なその言葉。


「私も、愛してる」




伊織といられるなら、何もいらない。

もう、何もいらない。


本当に幸せすぎて幸せすぎて。


それから暫くして。

私に更なる幸せが訪れたんだ。



孤独だった、伊織へのきっと神様からの贈り物。


そんな気がしたんだ。