違うよ、伊織。
こうやって貰うってことが、私には嬉しいんだよ。

だから、それでいいの。


「それね、聖とお揃いなんだ」


「え?」


驚いた顔を見せてから、伊織はその指輪を見る。


「本当偶然に会ったんだ。
JUNって言うブランド知ってる?」


「…ああ、あれか」


「やっぱり有名なんだ。
知らないで買ったら、聖もそれを買う為に来てたんだって。
…なんかさ、聖と伊織も繋がってるように感じない?
私、聖がその指輪を買うって言った時、運命だと思った」


それから私はまたふふっと笑いながら伊織に続けて言う。


「限定で、その日じゃなきゃ買えなくて。
それを私がたまたま伊織の為に買うんだよ。

なんか、次に聖に会っても笑えそうだよね」


「…………」

伊織は暫く黙ったまま、その指輪を手に取る。

それから薬指に嵌めた。


「…似合う?」

はにかむように笑いながら、伊織は指輪を見せる。

だから私は

「ちょーカッコいい!!!」

そうやって満面の笑みで言ったんだ。