和はからっと

「当たり前、そっちのが大事!」

そう言った。


ファーストフードを出た私と和は、バイバイして別れた。

私は自分の自転車に跨ると、伊織の家を目指す。


もう、二日も会ってない。
早く会いたい。


逸る胸を抑えながらペダルを必死に漕ぐ。
時折、立ち漕ぎをしながら私は愛しい人の待つ家へと走らせる。


冷たい風が今は気持ちいい。
いつもならただ憂鬱なだけなのに。



何故、こうも伊織という存在は私に鮮やか過ぎる色をくれるのだろうか。




すっ飛ばしたお陰で、私はかなり早く伊織の家に到着した。
その分、息も切れてたけども。


自転車を駐輪場に止めると、伊織の部屋の前まで走っていく。


私が階段を上がる音がカンカンと辺りに響く。

伊織の部屋の前まで来ると、私は合鍵を鍵穴に差しこんだ。


ドアノブを捻り、部屋に足を踏み入れる。
玄関には履き潰した伊織の靴があって、口元が緩んだ。


伊織、いるんだ。

そう思った矢先に

「泉?」


部屋の中から、愛しい人の声が聞こえた。