レンタル彼氏【完全版】

「もしもし」


「何で指輪のこと知ってんの!?」


吃驚した声を出す聖。


「…さっき、買ったから」


「え!?意味がわかんないんだけど!
男物だよ!?」


「あ、うん、…伊織へのプレゼントに」


「…そうか。なるほど!」


一瞬、黙った聖だったけどすぐに明るい声を出した。


「今、JUNにいるんだけどまだ近くならおいでよ」


「うん、わかった」


電話を切ると、私はエスカレーターをあがる。


さっき、いたフロアにまた舞い戻ると私はJUNに向かった。
JUNの前で聖が私を見つけたのか、手を振っている。


それに私も手を振る。



「いずちゃん、おは」


「おはよ」


「あれ?さっきの子じゃないですか」


聖の奥にいたのは、さっき接客をしてくれた木村さんだった。


「何、キム。いずちゃん口説いたわけ?」


「いや、違いますから!指輪買ってくれたんですよ」


「はは、わかってるわかってる」


「もう、聖さん、冗談きついっす」


困った顔で木村さんは笑っていた。