レンタル彼氏【完全版】

「ですよね!!
かっこよくないですか!?」


私がそう言ったのを、嬉しそうに店員は返した。
だけど、すぐに落胆する。


「でも、店員は買えないんですよ。
限定だから…。
めちゃくちゃ欲しいのに…」


眉を下げて今にも泣き出しそうな顔をしてるその人が、面白くて私は吹き出してしまった。


「ぷっ、あはは」


「あ、笑いごとじゃないですからねえ。
これ、値段も高くなくて二万切るんですよ。
うちのアクセでもかなり安いです」


二万、それならいけるな。


「そうなんですね、シリアルは何番があるんですか?」


「え?あ、ちょっと待って下さいね」


どうせなら一番とかがいいなあ。



店員は引き出しを開けて、一つ一つ指輪を確認している。


「えっと…、あ、一番ありますね!
連番で五番までです」


「五個しかないんですか!?」


「はい、全店で五十だけの限定なので」


「それで、ここに一番があるんですか?」


「そうなんですよ、意外とここ都内店に負けてないんです」


まさか、一番があると思ってなくて私は少し拍子抜けした。