「知ってた?
私がどれほど伊織を好きかってこと」


伊織はふるふると首を振る。


今度は私が伊織の頬に手を添えた。



「伊織と堕ちていくならそれでも、構わないんだ。
伊織の罪を私が一緒に背負うことで、伊織がほんの少しでも楽になれるならそれでも構わない」


「…………」


伊織は黙ったまま、私を見つめる。


「でもね、伊織?」


これは、私の本心。
紛れもない、本心。


「伊織のその闇を私が照らし出すことが出来るなら、そうしたいんだ。
堕ちていくよりは、光を浴びたいでしょう?
その為なら私はいくらでも犠牲になるから」



ねえ、本当だよ?

もう、伊織が一人で苦しむ必要なんかないんだ。


今まで一人で苦しんだんでしょう…?

どれだけ苦しんだのか、わからない。


その時、隣にいれなかったことが今でも悔しいんだ。



どれだけ涙を流したのかわからない。



その時、涙を掬ってあげられなかったのが今でも悔しいんだ。