「…軽蔑、した?」


「…………」


なんて言っていいのか、わからないよ。

だって、いきなり自分は殺人犯だなんて。



「罪悪感なんてモノなかったんだ。
だって、あいつが殺したいほど憎かったから」



伊織の手は……震えていた。

…何を、思ったんだ。
私は。



伊織は。
その、罪をずっとずっと背負ってきたんだ。



負の連鎖を断ち切るのは、私だと。

聖の時に思ったじゃないか。




罪悪感がないわけないんだ。

罪に苛まれて、苦しんだはずだ。


だって、伊織から何もかもが消えていったんだから。



伊織は、今、何も手にしていないのだから。



「…嘘」


「え?」


急に発言した私を伊織は見る。


「伊織、たくさん苦しんだんでしょ?」


「………」


伊織はハッと息をのむ。


「どんな、過去があろうと。
どんな罪を背負ってようと。

私はもう、伊織から逃げないんだって決めたんだ」


「…………」