「何で、そんな嘘…」


まあ、ごもっとも。


「んー…バカっぽい方がやっぱり人気だったからかな?頭よすぎるのはやりにくい、というか…。
まあ、それも中学の更に行ってた時の話ね」


「そうなの?」


「俺、途中から中学通ってないし、卒業もしてないから」


「!!!」




泉が息を飲むのがわかる。

わからなくて、当然。


だって、普通じゃないから。
こんな生き方。





「俺、今日仕事あるからさ、長くなるし、帰って来たら話すよ」


「……うん」



俺が優しく、諭すように言うと泉は俯いて、難しい顔をする。


それから顔を上げると、俺を真っ直ぐすぎる瞳で見つめた。




「ご飯っ、何がいい?」


「へっ?」



思ってもない質問に、思わず素っ頓狂な声が出た。

すぐに口を噤むと、泉は至って真剣な顔で俺を見ていた。




「…帰って、ご飯作って来る!リクエスト、何でもいいから言って!」


泉はそうはっきり言ったくせに


「あ、あまり難しいモノは、ちょっと、なるべく…」


なんて言葉を濁す。


何つーか、本当泉っていつまでも泉だ。