私は絡ませた手を強く握りしめる。


「………伊織」


愛しい人の名前を、そっと呼ぶ。


伊織はゆっくりと私の顔を見る。




「………大丈夫」


「…え?」


「……私のことは信じていい。
絶対絶対、いなくならないから」


「……………」


「大丈夫、大丈夫だから」


「……っ……」




ツーっと、伊織の頬を涙が伝う。



「…………伊織、好き」






静かに、瞼を閉じると。




私は。







伊織の唇にゆっくりと自分の唇を合わせた。






何もかもがうまくすり抜けて。


何もかもがうまく交わる。





そんな、世界で。





私達は出会ったよね。






ねえ、伊織。




信じ続けたら、叶うんだってこと。




少し、信じてくれたかな。




伊織に必ず会えると思っていた私。




今、叶ったでしょう?



六年も経ってしまったけれど。





信じ続けたから。





叶ったでしょう…?






神様の悪戯みたいな偶然の出会い。




だけど、これは。





私達が起こした紛れもない奇跡だよ。