笑っちゃうぐらい伊織が好きで好きで堪らない私がいた。



震えながら受け取った封筒。



そこにあるのは伊織の住所。




机の奥に閉まっていた携帯を取り出す。

この携帯を取り出すのは何度目だろう。


この携帯と、くしゃくしゃのお金を私は手に持った。


……あの日。


伊織がいなくなった日に、置いてあった携帯とお金。


これを私は伊織に返すのだから。


鈴恵さんから封筒と共に、私は伊織の写真も貰った。

その写真は部屋にあるコルクボードにはりつけた。



子供達に混じって笑う伊織の顔は、レンタル彼氏をしてた風には一切思えないほど爽やかで、眩しかった。




写真を見ると、自然と顔が綻んだ。



私は自分の携帯を取り出すと、聖に電話をかける。

聖と一緒に訪問して驚かせてやろう。



聖も仲直りをしたいはずだ。

だって、聖は伊織を好きだと言っていたから。




長いコール音を、私はドキドキしながら聞いていた。


聖はどんな反応をするだろうか。

それが楽しみで、待ちきれなかった。