あれから暫く私は泣き続けた。


鈴恵さんは泣き止むまで、ずっと背中をさすってくれていた。



伊織。


貴方は一人じゃなかったよ。



私だけじゃなくて、鈴恵さんもこんなに伊織を想ってくれていた。




よかった。


鈴恵さんがいてくれて。


伊織が何もかもを失っても生き続けられたのは。



鈴恵さんがいたからだ。



聖に裏切られてもなお、生きていたのはきっと。





早く、早く。


伊織に会いたい。



明日、会いに行ってもいいだろうか。


突然行っても迷惑ではないだろうか。



聖に裏切られていたとはいえ、私を酷い女だとは思っていないだろうか。



………でも。




私は会いたい。




伊織に会って、抱きしめたい。



それでたくさん文句を言いたい。


何で私を手放したのかとか。

何で連絡を取れないようにしたとか。




たくさんたくさんたくさん、言いたい。




16のあの時からずっと、心に蓄めていた思いだから。



覚悟してよね!


暫く説教だからね!