現生を、一千万を。


直接……?

どれだけの量だろう。

俺はソファーに深く腰を沈めると、タバコに火を点けた。
独りで部屋にいると、何もすることがなくて気が狂いそうだった。


母親を殺した幻覚。
あの男を犯人にした罪。


様々な裏切り。
孤独。

何もかもが一気に押し寄せてきて、嘲笑ってるような気がした。


だから、タバコに手を出した。

元々、やめていたのは母親にそんな姿を見せたくなかっただけだったし。



何よりタバコを吸ってる間は無になれたから。


ピンポンピンポン


ふーっとタバコの煙を吐き出していると、誰かがインターホンを押していた。



俺は玄関まで行くと、黙ったまま扉を開けた。

そこにいたのは。


「よっ、暇?」

「ちはっ」

聖と吏紀だった。


「………何?」


無愛想に答えると、吏紀が笑いながら言った。


「まあまあ、暇なら飯食わねえ?」


「……腹減ってねえし」


「と、思ったから色々持って来ちゃったぜ!」


「…は?」