今日、俺は美佳が会わせたいと言っていた人に会うことになっていた。


その人に会いに事務所まで行くらしい。
美佳の緊張が手に取るようにわかる。

怖いものなしな感じがする美佳が、こんなにかしこまるなんて、余程の相手なのだろうか。


そう、思い俺も腹を括った。


時刻通り迎えに来た黒塗りのいかにもな車に美佳と乗り込むと、一息ついた。



「……伊織にさ」


「ん?」


おもむろに話しだす美佳を見る。


「私の仕事の話してなかったよね」


「…仕事?そういえば知らない」


「私の仕事はね、レンタル彼女なの」





――――………レンタル彼女…?


ぽかんと口を開けたまま美佳を見ると、苦笑いしながら続ける。


「まーレンタルって名前がつくだけで、ほとんど彼女の役割果たすだけだけどね」


「……役割……」


「これでも人気なのよ、私!」


そう言うと、美佳は自慢気に胸元を拳で叩いた。



「…具体的には何するの?」


美佳に疑問をぶつけると、頷きながら答えた。