いつの間にか、俺の手は寒くもないのに震えていた。


「………殺した………」



ぽつりと、呟く。
それと一緒にぼろぼろ、涙が零れ落ちる。


悲愴感に打ち拉がれる俺を、急に美佳が強く抱き締めた。


あたたかな、人の温もり。
それがまた俺を苦しめる。


「…わかった、大丈夫。
もう、大丈夫だから」



何が大丈夫なのか。
何で大丈夫なのか。

美佳は呪文のように、何度も何度も“大丈夫”と言い聞かせるように呟いた。



それは、俺というよりも美佳自身に言い聞かせるようだった。



その日は美佳の腕に抱かれながら、ずっと泣き続けた。

そのまま、泣き疲れて俺は美佳の膝の上で眠った。







俺は。




まだ、15だった。