「ちょっとっ、待っててねっ、せんせぇ呼んでくるっ」

涙を拭いながら、美佳は病室を急いで飛び出した。


そんな、美佳を見て。

……酷いモノを見せてしまったことを後悔した。



下唇をぎりっと噛む。
と、同時にまた誰かが病室に入って来た。


美佳かと、思って見るとスーツを来た男が二人。



直感で刑事だと思った俺は咄嗟に身構える。


「…立花、伊織君だね?」


「……はい」


「あー、私達はこういうものだけど」

そう言いながら警察手帳を見せた。
それに反応をせずに、真っ直ぐに見つめた。

刑事二人は話を続けた。


「目覚めたばかりで本当申し訳ないけど、何があったか話してもらえるかな?」


「……………」

俺は黙って頷いた。



動揺なんかしない。
もしも、生きていたなら。

間違いなく、警察に事件のことを聞かれる。

そんなことぐらいは想定の範囲内だったから。



どこまでも俺はあざとい。

醜すぎて、吐き気がした。