薄れ行く意識の中。


「い、伊織?!!
いやーーーーー!伊織ぃぃっ!」


叫ぶ美佳の声を聞いた。



ごめんね。
巻き込んでごめん。


美佳なら、ちゃんと証言してくれるって。

何故か思えたんだ。


美佳の姿を見ることなく、俺は意識を失った。





目覚めた時。


俺は病院のベッドの上だった。



「……………」


生き、てる………?

ゆっくりと腕を上げて、手を開く。




…………生きてた。




醜くも、俺は生きてしまった。



自然と俺の目からは涙が溢れた。


その時、ガチャリと扉が開き誰かが入ってきた。


「…………伊織っ???」


その、声がした方に目をやる。


そこに立っていたのは。


「………美佳…」



涙で顔を歪ませている美佳だった。


「気付いたっ、んだっ、よかっっ…………」


声にならない声で、美佳は必死に話そうとする。
だけど、何を言ってるのかわからなくて俺は口が緩んだ。