初めて会った時の伊織が、事細かに鮮明に思い出されて、また涙腺が緩む。


「……自分から壊してしまったけど、伊織のこと本当好きだったんだよ」


「……………」



聖。


もう、いい。



「……大丈夫」


「…え?」


涙で視界が歪むけど、私はこれを伝えないといけない。
だって、きっと伊織ならこう思ってる。


「何もかも、わかってるから。
きっと、伊織は聖を恨んでなんかいない」


「っっ!」



ぎゅうっと、私と繋がれた手に力がこもる。



「私、伊織と会えなかったんだ」


「…連絡は?」


「……携帯繋がらなかった」


「はあっ!?」



ほら。
やっぱり聖は嘘をついていなかった。



和、騙されたけど。




私は信じてよかった。


何度も何度も何度も騙されても。


私だけは信じてやるんだから。


「いいんだっ」


「よくねえよ!」


「いいの、きっとこれも運命なんだよ」


「……何でっ……会わせたかったのに……」



その、言葉が私には嬉しいんだよ。
聖。