人の絆って言うものは。

こうも脆くて。

こうも呆気なくて。

こうも儚いものなのか。



美佳は、ずっとずっと近くにいるモノだと勝手に思い込んでいた。


でも、それは俺の我が儘なだけ。


美佳にだって、美佳の人生があるんだから。



それに、気付けなかったから今苦しいだけ。

俺の胸元で光るネックレスは今も外せないまま。



本当に俺には鈴恵さんしかいなくなってしまったんだ。



唯一の友達の聖も。
唯一の家族の美佳も。




俺の人生は。



この、悲痛な運命を受け入れる為だけにある。



だから、もう嘆かない。






………一切、涙が出ないのは。






もう、枯れてしまったからなんだろうか。





何もかもが固まって、凍り付いてしまって。


ただ、息をして。
毎日起きて、働いて。



そんな、感情を失った人間になってしまったから。





ねえ、美佳。


………美佳に笑ってもらいたかったんだ。




笑って、伊織は相変わらずだなって。