あの後。
聖からの連絡に返事をすることが出来ずにいた。


いきなり、消えてしまった俺を不思議に思っているはずだ。


でも、聖に会えば自然と泉を思い出すから。


それが苦しくて、苦しくて。


逃げていたんだ。



【何があったの?急にいなくなっちゃって】


“ごめん”


ただ、それだけ入れたらいいのに。



いつ、会おうが。

もう、泉の陰を拭うことなんて出来ないのに。


目に焼き付いたあの、肌が気持ちを昂ぶらせた。


「…バイトだ」


もう、そんな時間か。
最近、ボーッとしてあっという間に一日が終わってる気がする。


準備しようと、腰を上げたと同時に俺の携帯が鳴った。



………………。



無言で携帯を開く。




相手は聖だった。


出るか、迷ったけど。
バイトだからと、早く電話を切り上げられる。

多分、こんな時でないと出ないかもしれない。


意を決した俺は通話ボタンを押した。