「………会いに行ってあげて」


「………………」


頷くことも、拒否することも出来ずに、私はその紙を受け取ると少し微笑んで玄関の扉を開けた。

紙をくしゃっと握り潰すと、開くことなくデニムのポケットに突っ込んだ。




今更………会えるの?



会ってもいいの?






どれだけ、私は伊織を傷付けたの?



私の所為でどれだけ。


いくら聖がした復讐だからって…私も関わってるのに。






もっと、最初に聖を拒んでいたら。



こんなことにはならなかったのかもしれない。


でも、もう終わったことなんだ。



それでね。

私はすぐに伊織に連絡しなかったことを後悔するんだ。



連絡した時、既に伊織はいなくなった後だったんだから。



つくづく、スレ違う運命なんだ。


伊織に会うこと。



生きてる内に出来るのかな。