なんか、勝てない。
そう、思った。
何か戦ったわけでもないのに、彼にはどんなことでも勝てないと思った。
きっと、惚れてしまったら終わりだろうと。
「…がっかりした?」
「え?」
「俺が理想通りでなくて」
図星だった私は何も言えず口を噤んでしまう。
そんな私を見て自嘲しながら伊織は壁を拳で思い切り殴りつけた。
いきなりのことに固まってしまって、身動きがとれなくなる。
「………俺は俺でいたら好きになってくれないのか?」
ぼそりと呟く伊織は。
レンタル彼氏で毎日、愛を囁いているはずなのに。
とても愛に飢えているように見えた。
16の私が何を言うと思うかもしれないけど、少なくとも私にはそう見えた。
そう、思った。
何か戦ったわけでもないのに、彼にはどんなことでも勝てないと思った。
きっと、惚れてしまったら終わりだろうと。
「…がっかりした?」
「え?」
「俺が理想通りでなくて」
図星だった私は何も言えず口を噤んでしまう。
そんな私を見て自嘲しながら伊織は壁を拳で思い切り殴りつけた。
いきなりのことに固まってしまって、身動きがとれなくなる。
「………俺は俺でいたら好きになってくれないのか?」
ぼそりと呟く伊織は。
レンタル彼氏で毎日、愛を囁いているはずなのに。
とても愛に飢えているように見えた。
16の私が何を言うと思うかもしれないけど、少なくとも私にはそう見えた。



