その翌日から聖はちょくちょく、大学に顔を出していた。
顔を見せない時はバイトをしているらしい。
前に行ったカラオケボックス。


あれから、聖は私に強引なことをしなくなった。
だから、私も普通に接していた。

しっかりカバンも返してもらったし。

尚子とも仲良くなっていたし、害はないかと思った。


何日かして、ダブルデートが決まって、今日はその当日だった。


朝。
まあ、気合い入れる必要ないよな。
私はおまけ程度だし。

聖とってよりは、尚子と彼をって考えてるし。


その日も私は、moussyのショーパンにZARAのタンク、クロスネックレスをして、かなりシンプルな格好だった。

それにトレッキングブーツ。
色気なんか微塵もない。



なのに。

待ち合わせ場所に着いた時の聖の第一声は

「かーわーいーいー」

だった。


まだ、尚子と聖の友達は来ていない。


「……可愛い、か?カッコいいのがあってるよね?」

聖は訝しげに言う私に、首をぶんぶんと振ると言った。



「いずちゃんらしい。
俺、こういうの好き」