「だって、会えるかもって…おとぎ話じゃないんだから!」


「でも、会えるよ」


「会えなくなってどのぐらい?」


「………三年」


「ほらー。こんな広い世界で偶然なんかない。
そんなんで会えたら奇跡だよ」


「………でも、会える」


「………………泉?」


「………」



聖は真面目な顔で、私の頬に手を伸ばす。


「…俺、泉まじになっちゃった。
覚悟しといてね?」


「…はあ?!」


「ふふっ、俺、そいつよりでかい存在になってやるっ」


「…………!!!」



頬に触れていた手が、頭に回ったかと思ったら聖はそのまま強引に唇に唇を重ね合わせた。



ぱしぃっ!


乾いた音を出して聖の顔を思い切り叩く。
なのに…聖はニヤリと笑った。


「いいね、その顔」


「……最低っ!!」

聖の顔をキッと睨みつけた。

悔しくて、涙が滲んでくる。
こいつ、まじで許せない!

伊織以外、もうしないって心に誓ってたのに。


絶対、もう会わない!
会いたくない!


聖に背を向けて私は走った。


泣き顔なんて絶対見せるもんか。