「……急にごめん」


「あ、いや…伊織って、まさか好きな人?」


「……………そう」

はあっと溜め息をつくと、私は頷きながら言った。

ここまであからさまに反応しといて、違うなんて言えない。
そう、思った私は正直に告白した。


「……俺の知り合いの伊織じゃないよ、きっと」


「そうだよね、……うん」


「だって、モテモテだもん。そいつ。特定の女とかいないし」


「……………」


それって。
伊織、じゃないのかな…?


「あ、あのさ」


「何?」


「身長このぐらいで、髪の毛茶色でさらっさらで、目くりくりしてて、肌つやつやでさ、笑うとエクボ出来る…伊織だったりする?」


身振り手振りで伊織を説明する。
聖はきょとんとした顔を見せた。


「……違うよ…?」


「………そう、だよね。
そっか、ごめん」


「そんな好きなの?」


「…………好き」


「…本人に会わせてあげたいけど、音信不通なんだよね、今」


「いや、いいよ。違うかもだし。それに会えるって思ってるから」


「あっははは!」


私の言葉に急に聖は笑いだした。