「ねえ、いずちんさ」


尚子はあだ名で呼ぶのが好きで、私のことをいずちんと呼んでいる。
最初は抵抗あった呼び名だったけど、三ヶ月もいたらいい加減慣れてくる。



「何」


「今日合コン行かない?」


「パス」


「えー?何でー?いずちんと合コンしたいって子いんのに~」


尚子はしっかりモノの和と違って、甘えたな性格をしている。

和に尚子の話をした時、泉にはいいんじゃない?って笑ってくれた。


「無理無理、私好きな人いるし」

尚子には一応、ずっと好きな元彼がいる、とだけ伝えた。

職業や、何もかもを省略して。

思い出すの、辛いからと誤魔化してどうにかやり過ごした。


「でも、もうずっと会ってないんでしょ?」


「まあね、三年は」


「しかも連絡も取ってないんでしょ?」


「…まあ、一度も」


「そんなん望みなしじゃん!」


「まあ、ごもっとも」


「だから合コン行こう?」


「却下」


「えぇ~?じゃあ、今回だけ!そしたらもう誘わないから!」


「………」

尚子は上目遣いで、首を傾げておねだりするように言う。


「てか、もう来るって言っちゃった!」