じゃあ、違う泉だったんだ。


だって、泉は新聞記者になりたいって言ってた。
だから、ここで働きたいだなんて言うはずがない。


「とても温かい子だったわ」


「………」


「だけど…何か悲しそうだったわ」


「悲しそう…?」


「ええ、何かはわからないけど」


「……そっか」


その日から。
俺はその子のことが気になってしょうがなかった。


まさか、本当に泉じゃないだろうかって気持ちと。
まさか、泉なわけないって気持ちと。




それがわかるのは、もう少し後の話。
しかも、その時に俺はここの施設にはいないのだから。



何もかもがうまくいかないよね、本当。




神様は意地悪だ。