ドーナツを頬張る俺を、ドキドキしながら皆が見つめる。



「……………うまいっ!」

そうやって、笑顔で言うと嬉しそうに皆が笑った。
2つ、3つ食べてから俺は鈴恵さんの元へ向かった。

鈴恵さんはたくさんの洗濯物を畳んでいる。


「…手伝うよ」

俺は鈴恵さんの傍に座ると、一緒になって洗濯物を畳み始めた。


「ふふ、ありがとう」

鈴恵さんがニコニコしながら洗濯物を畳む。

そんな鈴恵さんに、さっきしょうから聞いたことを何気なしに尋ねた。


「今日、誰か来たの?」


「え?」


「なんか、さっきねぇねって言ってた」


「ああ、そうそう。若い女の子が来てたのよ」


「女の子?」


「そう、泉ちゃんって言うんだけど」


その名前を鈴恵さんが口に出した途端。

俺は時が止まったかのように、動けなくなった。




……何だって?


泉…………?


「ここで働きたいって言ってたんだけど、伊織いるし、必要ないからお断りしたのよ」


「その子が働きたいって言ったの?」


「そうよ」


「……そっか」