16の人生、ここで終わるのか。
そう、覚悟した私。
私の顔の左側には伊織の大きな手。
反対の手は私の腕を掴んで離さない。
あまりにも妖艶で、色気を放つ彼は。
私と余り年が変わらないようにも、一回り違うようにも見えた。
そんな不思議な空気を纏う彼が口にしたのは想像もしてなかった台詞で。
「俺をレンタルしたいの?」
その問いに私はしばらく呆然と彼を見つめることしか出来なかったのは言うまでもない。
だらしなく口を開けて彼を見つめる私を、軽く嘲笑いながら。
私の左側にあった手を、顔の目の前に出す。
「払ってね」
「え?」
その意味がわからず聞き返すと。
「2000万」
そう、彼は冷たく言い放った。



